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キャストスペシャルインタビュー

エンデヴァー役 稲田徹さん インタビュー エンデヴァー役 稲田徹さん インタビュー

―エンデヴァーは2期の体育祭編から登場しましたが、最初はどのようなイメージでアフレコに臨んだのでしょうか?


あの時点では、ヒーローではあるけれど、悪役感のある、プロレスで言うところの“ヒール”のような、アニメを見てくださる人がちょっと不愉快になるような雰囲気が出ればいいかな、と考えていました。



―体育祭編での、息子である轟焦凍とのやりとりや過去は、本当に印象的ですよね。


そうですね。当時のエンデヴァーは、僕が演じていなければ、自分でも嫌いになってしまうキャラクターだったと思います。だから、とにかく嫌われるような、そんなイメージでアフレコに臨んでいました。



―そして次に登場したのが同じく2期の「“ヒーロー殺し”ステイン編」、職場体験の時になります。


あそこでエンデヴァーのヒーローとしての強さ、カッコよさが垣間見えました。やはりあの時点ではNo.2ヒーローでしたが、その地位にいるヒーローは伊達じゃないぞ、というのが感じられて、僕としても彼の違った側面が見えた気がします。



―そんなエンデヴァーの転機となったのが、オールマイトとオール・フォー・ワンの戦いと、オールマイトの引退だったかと思います。


エンデヴァーはオールマイトを単に憎んでいたわけではなく、自分が超えたい、超えるべき存在として捉えています。そのオールマイトのあの姿は、少なからず動揺はあったはずです。そしてあの「なんだその情けない背中は!」というセリフを投げかけるわけです。先ほどの話の続きにもなりますが、僕は最初エンデヴァーの演じ方として、僕自身が元々ヒーローモノの経験もあったので、大仰というか、わかりやすいハッキリしたものを考えていました。ですが、音響監督の三間さんからは、もっと自然に、トップに近いプロヒーローではあるけど、ひとりの男である、という演出をいただいて、それまでもリテイクをすることが多かったんです。ですが、あのセリフは初めてリテイクなし、一発OKだったかもしれません。それくらい、自然に出せた演技でした。


―あの言葉は、叱咤激励ではなく…


そう、あれは、ぶつけましたね。僕としては怒りだったんです。「がんばれ!」と言う間柄ではないですし、自分が超えるべき存在なのに、そんなザマをするな!という、怒りをぶつけるセリフでした。それと、あのオールマイトvsオール・フォー・ワンの戦いのアフレコを見ていた僕としては、その時すでにエンデヴァーとハイエンドの戦いが原作で描かれていたので、プレッシャーも感じました。僕が声優として生きている中でライバルと思っている三宅健太があんな凄まじい戦いを見せてくれた。まさにその背中を見ていたんです。それをしっかり目に焼き付けました。



―そして、4期の最終回となる第88話「始まりの」のアフレコを迎え、気持ちはいかがでしたか?


ヒロアカの4期を制作するというお話を聞いた時点では、あの戦いまでは描かれないだろうな、と勝手に思っていたんです。そうしたら、各話のアフレコが進んでいる途中で「あの戦いまでいきます」と聞いて(苦笑)。なんだったら、僕はあの戦いのアフレコまでに体を鍛えてコンディションを整えようかなと思っていたくらいですから(笑)、ちょっと焦りましたね。それと、アフレコまで日数が空いてしまって、自分として気持ちの高まりのバランスを取るのは多少苦労しましたが、最終的にはいい状態で臨めたと思います。



―アフレコでの演技について元々考えていたプランのようなものはあったんでしょうか?


僕は、原作漫画がある作品は、だいたい自分の演じる役は初見から声を出して読むんです。それが一番インスピレーションが湧くので、その時のイメージを持ちつつ、ブラッシュアップしていきました。あの戦いのエンデヴァーは、激しく戦っている中で、家族のことを思ったり、戦い方や周辺住民のことを緻密に考えたりもしている。熱くなりつつも冷静な面も見せなきゃいけないので、そういった面で演技の「火力調整」をしていましたね(笑)。



―(笑)。たしかにあの時のエンデヴァーは必死でありつつ、いろいろなことを考えながら戦っていました。叫びやモノローグが入り乱れて、難しかったのではないですか?


とにかくフルパワーで演じていれば大丈夫、というものではなかったと思います。デクや焦凍と違い、エンデヴァーは大人のプロのヒーローなので、がむしゃらなだけではいけないというのは、これまでも音響監督の三間さんには演出をいただいているので、まさにそんな演技が必要でした。エンデヴァーはいわゆる「炎使い」ですが、周囲の状況や敵のタイプに合わせた技を出したり、そして超高火力の技は周囲に被害が及ばない上空で出したりとか、そういったクレバーさもカッコいいと思います。


―ハイエンドと熱く戦った88話の収録を終えて、いかがでしたか?


出し切りました!でも、原作を読んでいる方はわかると思いますが、あのすぐ後にもある事件が起きますから、正直僕の体力的には4期はあそこで終わってくれてよかったと思います(笑)。もし5期があの続きから描かれるのだとしたら、僕は最初から戦い終わったモードでアフレコに臨むことに…。4期最終回のあの状態を持ったまま、僕は5期までの期間を過ごさないといけないですね。



―それは過酷な…(苦笑)。あと、ラスト2話中村悠一さん演じるホークスが登場しました。彼とのコンビはどうでしたか?


87話では、ヒーロービルボードチャートJP発表のステージや焼鳥屋でいい具合におちょくってくれました(笑)。ああいうのらりくらりと遊びのあるタイプは、まじめで遊びのないエンデヴァーは本当に腹が立つんだと思いますが、バランスとしてはすごくいいコンビですよね。そしてホークスは、エンデヴァーがただひとりオールマイトを超えようと不器用に努力してきたことをちゃんと見ていてくれた数少ない人間。それでいて、「エンデヴァーさんはこういうとこが足りないんだよなあ」とか、斜に構えて思っていたり。その中で、No.1とNo.2として並び立って、彼はエンデヴァーを後押ししようとしてくれた。あの戦いでも、ホークスがいなかったら勝てなかったし、ホークスとしても、エンデヴァーがいたからこそ勝つことができたんだと思います。



―87話でのやりとりから印象的でしたよね。


その中で、ホークスの「ヒーローが暇を持て余す世の中にしたいんです」という言葉をエンデヴァーは受け止めました。やり方や姿勢は違いますが、最終的に目指すところは一緒ですから。エンデヴァーって、気に入らないからすべて否定することはないんです。そこは、オールマイトとの関係性や彼への心情が変化した、4期でオールマイトに「平和の象徴とはなんだ?」と聞いたあの時が契機だったかもしれません。ちょっと腹が立つホークスでも、ちょっと心にとまるような言葉があればそれを受け止める器量があると思います。そのホークスとは、ハイエンドとの戦いを経て、信頼感が出来上がったと思っています。



―5期に向けて、ファン・視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。


4期はヒーローインターン編、仮免補講、文化祭編、そしてハイエンド戦と、本当にいろいろなことが起こりました。そして5期は、最初からいろいろなサプライズが待っていると思います。4期最終回を見た気持ちを持続したまま、5期を迎えてほしいですね。ヒロアカ5期は、ヒロアカ史上の中でも本当に熱いシリーズになると思います。ワクワクしながら、心待ちにしていてください。期待は裏切りません!



―ありがとうございました!

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